７ 病院・入口
豪華な玄関扉から出ていく山下と川上。その後ろで、玉緒がひらひらと手を振っている。
８ 病院・敷地外
門扉から出てくる川上と山下。
鉄柵で囲まれた広い庭の向こうにどっしりと構える病院の建物を見上げる。
ヨーロッパ貴族の瀟洒な別荘のような、城のような、浮世離れした建物。それはあるいは大きな教会のようにも見える。
川上 「すごいですねえこれが病院だなんて。しかも整形外科」
山下 「江戸城みたいな歯医者も見たことあるぞ。審美歯科だったけどな。ようするに見た目なんかに金をかけられる奴らは俺たちとは違う世界の生き物だってことだよ。ガンくらい自力で直せって言われる世の中だぞ。金のない奴は静かに死ねってことだからな。」
二人、病院を背に歩き出す。
川上 「『世界に不必要なものほど美しい』」
山下 「ん？」
川上 「ってうちの親父がよく言ってました。知ってます？明るい色の目の人いるじゃないですか。ほら、青とか緑とか薄い色の。おとぎ話に出てくる王子様お姫様みたいな。そういう目の色って、光感受性が強すぎて眼腫瘍にかかるリスクが高いんです。なのにどうしてその遺伝子が淘汰されずに残っているのか。それは、他者から関心をひきやすかったから、だそうですよ」
山下 「だからなんだよ」
川上 「進化は必ずしも合理的じゃないってことです。芸能人とかもいるのかな。一泊いくらなんでしょうね、ここ」
山下 「知るか。バス、何時だ？」
川上 「（腕時計を見て）二分後です。それ逃すと次は二時間後ですね」
山下と川上、急いで走り去る。
二人の横を、黄色いレインコートを着た園児の集団が通り過ぎていく。
７ 医院・入口
山下和川上从豪华的门廊走出来。在他们身后，玉绪在慢慢地挥手告别。
８ 医院・院外
川上和山下走出了门。
他们仰视着被铁栅栏围住的、院子对面的结构庄严的医院大楼。
这是像是欧洲贵族的漂亮的别墅、或者是城堡那样远离尘世的建筑物。或者是在大教堂经常看到的那样。
川上 「真漂亮啊，这简直不像是普通医院。更像是是矫形外科」
山下 「江户的牙医见过吧，还真是审美牙科啊。总之用外表挣钱的家伙和我们完全不是同一个世界的生物啊。这世界真像世人说的，得了癌症，啥都得靠自己。所以没钱的人就得静静的死掉啊。」
两个人背对医院走了出去。
川上 「『美得不该存在』」
山下 「嗯？」
川上 「我老爸经常说的。你知道吗？没有瞳孔颜色明亮的人吧。比如蓝色绿色之类的浅色。就像童话里出来的王子和公主吧。这样的瞳孔颜色，对光太敏感，很容易得眼肿瘤。那为什么这种基因没有被淘汰反而残留下来了呢。这是因为这种人很容易受到别人的关心，所以才幸存下来的。」
山下 「你到底想说啥？」
川上 「进化不一定都是合理的。这世界还有演员这种职业呢。一班车要等多久啊，这一站？」
山下 「你知道吗？公交车是几点的？」
川上 「（看了看手表）两分钟之后。要是错过了，下一班车就是两个小时之后了。」
山下和川上急忙离开了。
在两人身旁，一群穿黄色雨衣的幼儿园小孩走了过去。
靡不有初，鲜克有终……
历练未深(5级)
管理员(19级)
