「だめですわよ、いけませんよ、そんなことは!」
雪江は、物分かりのいい観音様にされないうちにと、奪衣婆のような形相をこしらえて見せた。
「それは、たしかに陽一郎は警察庁刑事局長という要職にあります。あの子の権力をもっていたしますれば、その程度のことを揉み消すぐらい、造作もありませんでしょう。けれど、あの子は清廉潔白。情実などでことを曲げるような真似は一切、いたしません。お考えちがいも大概になさいませ。さ、どうぞもう、お引き取りくださいませな」
一気にまくし立てて、着物の襟元をキュッと寄せると、すっくと立ち上がった。
雪江としては、われながら痛快な啖呵であった。住職はあっけに取られて、しばらくはポカーンと雪江の顔を見上げたまま、席を立つどころではなかったらしい。
それなら、ふとわれに返って「違う違う、そうではないのです」と、手と頭を大きく横に振った。
「ご子息にと申し上げたが、陽一郎さんにとは言わなかったはずですぞ。ましてや、揉み消していただくなどとは、毛頭考えておりません。私が言っているのはご次男の光彦のことなのです」
「光彦ですって?……」
今度は雪江のほうがあっけに取られて、一瞬、言葉を失った。
“不行!这怎么能行,这种事情!”
与其说雪江像是是非分明的观音菩萨,不如说她是摆出了夺衣婆(日本的鬼面判官)的架势。
“虽说阳一郎的确身处警察厅刑侦局长的要职,但是也没办法用职权打通关节、摆平这种程度的事情吧?况且他廉明守法,也绝对不会徇私情,用造假歪曲事实的。请改正错误的想法。言尽于此,请回吧。”
雪江滔滔不绝的讲了半天,然后用力拉了拉和服的衣领,嚯地站了起来。
对雪江来说,刚才这一番呵斥甚是痛快。住持却呆若木鸡,抬头茫然地望着雪江的脸,完全没有起身离开的意思。
这样僵持了一会儿,住持突然回过神来,说道:“不不不,不是这样的。”同时用力地摆着头和手。
“我是说过拜托您家少爷,但我没说过拜托阳一郎吧。况且我也完全没想过让您家少爷徇私枉法摆平这件事之类的。我说的是您的二儿子光彦。”
“你说光彦?……”
这次换雪江傻眼了,突然不知道该说什么才好。
先生の教えをお願い致します。
靡不有初,鲜克有终……