「は?いや、そんなことはないです。組織の一員に徹すれば、それなりに必要な人材であり得るかもしれませんよ」
まったく、田原は根っからお世辞の言えない男のようだ。
「楽しみだなあ……」
浅見は田原を送り出しながら、愉快そうに言った。
「何がですか?」
「あなたのように、バリバリの刑事さんを相手にどちらが先の事件の真相を解明することができるかを競うことが、ですよ」
「そんなこと……」
田原はあぜんとして口を開けた。
「浅見さん本気で考えているんですか?」
かわいそうに――と言わんばかりであった。
田原部長刑事のむき出しの対抗意識にあおられたせいか、浅見としては珍しく、「探偵ごっこ」という遊びごころを超えた、闘争心のようなものが勃然とわいてきた。
警察相手にひと泡吹かせてやろう――などとは、これまでのどの事件の際にも感じなかったことだが、今度ばかりはほとんど本気でそう思った。
「まあ、お互い頑張りましょう」
顔は笑っていたけれど、別れの挨拶代わりに言った言葉は、どことなくこわばった口調になった。
“哈?不不,这是什么话。只要做好一颗螺丝钉,就可能会发挥出很大的作用。”
田原真是一个不会恭维人的人。
“真好玩啊……”
浅见送走田原的时候做出愉快的样子,说道。
“什么好玩?”
“和您这样的干练的刑警比赛,看谁能先找出案件的真相,这真好玩。”
“这……”
田原哑口无言。
“您是认真的吗?”
田原的样子可怜巴巴的。
可能是出于对田原刑警赤裸裸的反抗心理,浅见少有地把“侦探把戏”不只是当作游戏来看待,他争强好胜的心理迅速占据了上风。
一定要让警察刮目相看——浅见在之前的案件里从来没有过这种感觉,但这次不一样,这次是发自内心这样想的。
“呐,我们都加油吧。”
浅见虽然嘴上在笑,但临别之际说的话,不知怎么的口气变得非常生硬。
[
本帖子最后于 2025/1/23 13:33:03 编辑 ]
靡不有初,鲜克有终……