【6】
現に、去年の秋から某省を中心として不正事件が進行していた。それには多数の出入り商人がからんでいるといわれている。現在は省内の下部の方だが、春になればもっと上層へ波及するだろうと新聞は観測していた。
そういう際でもあった。安田はさらに客について用心深くなった。客によっては、七度も八度も同じ顔があった。女中たちはコーさんとか、ウーさんとか言っているが、素性は全然知らされなかった。が、安田の連れてくる客のほとんどが、役人であるらしいことは、女中たちは知っていた。
しかし、招待客はどうでもよい。金を使うのは安田であった。「小雪」は、彼を大事にしておけばよかった。
安田辰郎は、三十五六で、広い額と通った鼻筋をもっていた。色は少し黒いが、やさしい目と、描いたような濃い眉毛があった。人がらも商人らしく練れて、あっさりしている【1】。女中たちには人気があった。しかし安田はそれに乗って、誰に野心があるというでもなさそうだった。彼は誰にたいしても、同じように愛想がよかった。
係りの女中は、はじめ当番をもった因縁でお時さんがなっていたが、座敷だけの気やすさで、それ以上に出る模様もなさそうだった。【2】
请问老师:
【1】这里的“あっさり”是什么意思呢?
【2】这句话看不明白,请老师解释一下。
低头做事