岩淵水門下流で発見された死体が、府中市の住人であったことはほとんどの報道機関が無視したらしい。テレビのニュースにはもちろん流れなかったし、いわゆる大新聞の社会面でも扱われなかった。
ちょうど同じ日に、中野区で工務店の社長一家が二人組の男に監禁され、3億円を強奪されるという事件が発生して、マスコミはそっちの方にかかりきりになった。そのために、紙面の大部分が割かれたということもあるけれど、人一人殺された程度の事件は、じきにマスコミから忘れ去られてしまう世の中なのかもしれない。
浅見光彦は、升波警部が来訪して、初めてそのことを知った。「しかもですね、被害者は殺される前日、なんと、四国の高松にいたのですよ」
升波はことの意外さを強調するように、いくぶん芝居がかった喋り方をした。
「へえー、高松ですかァ、懐かしいですねえ……」
「というと、浅見さんは何か、高松に思い出でもあるのですか?」
「ええ、まあ……思い出というには、あまりにも強烈すぎるかなあ。むしろえらい目に遭ったというべきなのかもしれません」
「ほー、どういうことですか、それは?」
「ちょうど一年ばかり前になりますか、僕の母親が、お仲間十人ばかりでお寺巡りツアーに出かけたのですが、その途中、多度津で交通事故に遭いましてね、記憶喪失になったのです」
岩渊水库下游发现的这具尸体乃府中市居民的这件事,大部分的媒体都无视了。电视新闻当然也没有报道,就连所谓的大型报纸的社会版也没有提到。
就在同一天,中野区的某小型建筑公司的社长一家被两名男性所监禁,被抢走了三亿日元,大众传媒都只顾着报道这起案件了。虽然岩渊浮尸案也曾占据了很大版面,但是世态炎凉,一人被杀这种程度的案件很快就会被媒体所遗忘。
浅见光彦也是在升波警部来访之后才知道这起案件的。“然而,受害人被杀前一天,为什么会在高松呢?”
升波似乎是为了强调这件事情的意外所在,说话方式有几分戏剧性的抑扬顿挫。
“啊啊,高松啊,旧事涌上心头喽……”
“这么说来,您在高松有什么回忆不成?”
“这个啊,说是回忆的话,就太轻描淡写了。甚至可以说是遭受了莫大的不幸。”
“哦?那是什么事情呢?”
“正好是一年之前的事情,我母亲和她的同伴一行十人寺巡(译者注,一种习俗,指轮流参拜各地的寺庙)的时候,在多度津出了车祸,因此丧失了记忆。”
先生の教えをお願い致します。
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本帖子最后于 2025/1/13 14:32:36 编辑 ]
靡不有初,鲜克有终……