【149】
「足助高原荘へしのび込んで、五億円せしめた泥棒がいる。形原温泉の芸者にぽんと百万円、チップを弾んだもので、大変な噂になっているって……。こそ泥にそんな美味しい目をされて、指をくわえて見逃すわけにはいかない。まして、よその組に取られると組の面子に関わる。なんとしても五億円を取りあげるんだって……」
ありさは淡々とこたえた。
形原は三河湾をみおろす温泉で、若い芸者が多いことで知られていた。
真祐美は息を飲む思いであった。
あの大金庫に大金がはいっていた。父が一枚噛んでいたという絶望感とともに、闇社会の噂がどこでどういうふうに流れるのか。それを目の当たりにしたように思った。
「で、取りあげたのですか」
「泥棒、東京へ逃げたそうですが、取りあげたんじゃないですか。原口はともかく、組はそういうことでへまをしませんから……」
「取りあげただけじゃないですね」
「さあ。そこから先は知りません」
ありさは首を小さく横に振った。
知っているが話すわけにはいかない。話せば面倒なことになる。ノーメイクの顔がそう語っている。
【译文】
“有个小偷潜入足助高原庄将五亿日元盗走。听他说那个人给形原温泉的艺伎百万日元当小费,已经成为不小的传闻了……。被一个小毛贼搞的眼馋不已,不可能只有羡慕而置之不理。而且,如果被其他的帮派抢走了那面子上挂不住了。他还说不管怎样都要把那五亿日元抢过来……”
有纱淡定地回答。
形原是俯视三河湾的温泉,以年轻艺伎众多而闻名。
真祐美听了不禁倒吸一口气。
那个大保险柜里面装着巨款。对父亲也参与其中感到绝望的同时,也好奇黑道的传闻是怎么传播的。她对此似乎感到亲眼所见了。
“那么,抢到了吗?”
“虽然听说小偷逃往东京,但不是抢到钱了吗。不用原口,组织在那个事情上是不会出错的……”
“不仅仅把钱抢走吧。”
“那,之后的事情我就不知道了。”
有纱轻轻地摇头说道。
就算知道也不能说。如果说了就会招来麻烦。素颜的脸庞这样述说道。
请老师看一下。
低头做事