【229】
「それは知りません。知りませんか、ぼくはその逆じゃないかと……」
「逆?」
「はい。人生のスタートの時期に、何かショッキングなことがあったんじゃないですか。ぼくらはその反対です。希望を持って社会にでてきました。それは、世の中そんな奇麗事じゃないのは知ってますよ。だからといって物事を悲観的に考えたって仕方ないじゃないですか。最初はママに抵抗がありました。ママの気持ちを切り替えてあげたいと思ったし、そういう努力もしたつもりです。でも、そんな簡単なことじゃなさそうなんだ……」
守屋は宮之原に目を返した。
真祐美はありさが十八歳のとき、失踪したのを思い浮かべた。
人生のスタートの時期に、雨宮ありさが傷ついたことはたしかであった。
「雨宮ありさが傷ついた事件を、具体的には聞いてないんだね」
「ママは話してくれませんでした」
守屋首を横に振り、
「ママ、自分のことを話さない人でしたからね。ぼくたち客の話を、黙って聞いてるんですよ。ですが、そんな、公団の秘密を聞きだすためなんかじゃなくて……。聞き上手というのかな……。ママ、耳たぶが薄かったでしょう。耳たぶの薄い女性は薄幸だといいますが……」
と、いいかけてはっと顔をあげた。
【译文】
“我不知道。虽然不知道 ,但是我却认为或许情况相反……”
“相反?”
“是的。在人生开始时期,是不是有什么被刺激了的事呢?我们跟她是不同的。是怀揣着希望进入社会的。那是因为我们知道世界并没有那么美好。即便悲观地考虑事物那也没有办法的不是吗。起初我对妈妈桑有抵触。我希望转换妈妈桑的心情,自以为做了那种努力。但是,看来事情并不那么简单……”
守屋看向宫之原。
真祐美想起来有纱十八岁的时候失踪了。
在人生刚开始的时候,雨宫有纱身心受到伤害是事实。
“你没有详细询问雨宫有纱被伤害的事情吗?”
“妈妈桑没有告诉我。”
守屋摇了摇头。
“妈妈桑是一个不说自己事情的人。默默地听我们客人的谈话。但是,并不是什么为了听打出公团的秘密……可以说是擅于倾听吧……妈妈桑,耳垂有几分薄吧。有句话说耳垂薄的女人命薄……”
守屋还没说完,忽然抬起头。
请老师看一下。
低头做事