【232】
　「それでしたら、名古屋管理局の総務課長をしてる恒川ですが……」
　水落はこたえた。
　真祐美は水落をみつめ、また、嘘に出合ったと思った。
　雨宮ありさと恒川は別の世界の人間としか思えなかった。家庭教師だったのはともかく、ありさが大学を卒業すると、雨宮材木店の婿になることが決まっていた。
　真祐美は本山の喫茶店ではじめて会った恒川を思い浮かべていた。
　小太りで丸顔、はげあがった額。冷房がよく効いているのに、ひっきりなし(接连不断)にハンカチで顔を拭っていた恒川。シャツもネクタイもスーツもくたびれた中年男のサンプル。その恒川が雨宮ありさの“恋人”だったとは……。
　「その先生というのは、雨宮さんの家庭教師のことですか」
　宮之原がつづけてたずねた。
　「そうらしいですね。恒川もママもその話をしたがらないんですが、恒川はあれで名古屋大学の工学部をでておりますから……」
　と、水落はいった。
「恒川さんはおいくつです？」
　宮之原は改めてたずねた。
「四十一です。わたしとおなじ昭和三十六年生まれですから……」
【译文】
“这么说的话，是名古屋管理局的总务课长恒川……”
水落回答道。
真祐美盯着水落，心里在想又遇到了谎言。
只觉得雨宫有纱和恒川是两个世界的人。先不说家庭教师，当有纱大学毕业时，雨宫木材店已经决定的女婿的人选了。
真祐美回想起了在本山咖啡馆第一次见面的恒川。
微胖圆脸，光秃的前额。明明开着冷气，恒川还是不断地用手帕擦着脸。
衬衫、领带和套装都用旧了中年男人形象。如果这样的恒川是雨宫有纱的“恋人”的话……
“那个老师就是雨宫小姐的家庭老师吗？”
宫之原继续问道。
“似乎是这样的。恒川和妈妈桑都不愿提及那件事，恒川已经从名古屋大学的工学部毕业了……”
水落回答道。
“恒川先生几岁？”
“四十一岁。跟我一样都是昭和三十六年出生……”

请老师看一下。