【7】
お時さんは、二十六だが、年齢を四つぐらい若く言ってもいいくらいに、色が白くてきれいである。黒瞳の勝った【1】大きい目が客に印象を与えた。客に何か言われて、微笑を含んだ上目使いで睨む表情が相手をよろこばした。当人はそれを心得てする仕ぐさであろう。瓜実顔で、唇とあごの間がせまく、横顔がきれいだった。
それくらいだから、客の中には誘惑する者もあったらしい。ここの女中はみんな通いである。午後四時ごろに出てきて十一時すぎには帰る。その帰りを待って、新橋駅のガード下あたりに来てくれと誘う者がある。客の言うことだからすげなくは断われない。ええ、いいわと返事して、三回も四回もすっぽかしてしまう。彼女に言わせると、それでたいてい察しをつけてほしい、のだそうである。
「血のめぐりの悪いくせに怒ってんのよ。このあいだお座敷に来て、いやと言うほどつねるのよ」
お時さんは、すわったまま、着物をめくってちらりと膝を朋輩に見せた。白い皮膚の上に、うす青い痣のようなものが一点に鬱血していた。
「ばかだな。君があんまり気を持たせるからさ」
と安田辰郎は、その場で杯を含みながら笑って言った。つまり安田は、それだけ気のおけない客になっていた。
「そういえば、ヤーさん、ちっともあたしたちをくどかないわね」
と、女中の八重子が言った。
「くどいてもはじまらんよ。どうせ肩すかしをくう組だからな」
请问老师,【1】这里的“勝つ”怎么理解呢?
老师,这本《点与线》我就当泛读,《汤河原》我回家后再翻。
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本帖子最后于 2023/8/31 16:46:21 编辑 ]
低头做事