【汤河原】【89】
川原が、部厚い台帳を取り出した。質屋に義務づけられた台帳である。
若宮が、ページをめくっていく。
台帳には、まず質入れされた品物の名称が記入される。
例えば、ロレックス(ゴールド)1986年製と書き製造ナンバーを書く。
その他、質入れした人間の名前、身分証明書のコピー、それと、指紋である。
若宮は、ここ一ヶ月、車上荒しで奪われた品物を全て暗記していた。だから、メモと照らし合わ
せの必要なしに、ページを繰っていく。
「この辺りで盗んだ物を、うちで質入れするとも思えませんがねえ」
と、傍から、川原がいう。
[まあ、そうだがねえ]
と、いいながら、若宮は、なおも、見ていったが、急に手を止めた。
「腕時計、コルム、クオーツ、色は黒、ナンバーは、435786。おい、そちらのメモを見てくれ」
と、若宮は、泉巡査にいった。
「あります。腕時計、コルム、色は黒、ナンバーは435786です」
「同じだ」
と、若宮は、短かく、いった。
この腕時計は、熱海で、レストランの駐車場にとめてあったべンツの中から、盗まれたものだっ
た。
電池が切れたので、グローブボックスに入れておいて、忘れてしまったのだという。
質入れした人間の名前は、小笠原卓。三十二歳。
十月二十六日に質入れされていた。
熱海で盗まれたのが、十月二十三日だから、三日後に、湯河原で質入れしたことになる。
【译文】
川原拿出厚厚的台账。这是强制当铺准备的台账。
若宫翻看着。
首先写入台账的是物品名称。
比如,写着“劳力士(黄金)1986年制”,还写着制造编码。
其他还有典当人姓名、身份证明文件复印件,还有指纹。
若宫把这一个月在车上失窃的物品全部记在心里。所以,不用一边对照笔记一边翻页码。
“我想不可能在这边失窃的物品来我店里当掉吧。”
旁边的川原说道。
“是啊,说的没错。”
若宫这样说着,当要继续翻下去的时候,忽然手停住了。
“手表,昆仑牌,石英,黑色,编码是435786。喂,看看那笔记。”
若宫对泉水巡查说道。
“找到了。手表,昆仑牌,黑色,编码是435786。”
“两者相同。”
若宫简短地说道。
这只手表是从一辆奔驰车里失窃的,当时车子停在热海一家旅馆的停车场。
据说是因为电池没电了,放在手套箱里后就忘记了。
典当人姓名是小笠原卓。三十二岁。
十月二十六日当掉的。
在热海被盗时间是十月二十三日,三天之后,在汤河原当掉了。
请老师看一下。
低头做事