「いま、鐘が鳴らなかった?」
雪江はこわばった表情で言った。声がうわずっているところを見ると、よほど怖かったにちがいない。そうしてみると、怖いもの知らずのような猛母にもウィークポイントはあるらしい。
「ええ、鐘の声のようでした。」
「鐘ですよ、間違いないわ……聖林寺さんかしらねえ」
「たぶんそうでしょう。この辺で鐘のあるお寺はあそこだけです」
「だけど、聖林寺さんがなんだってこんな時刻に……変だわねえ……」
「はあ、変ですね」
東京では、除夜の鐘か緊急時でもないかぎり、夜中に鐘を鳴らすことはない。いや、日中だって、滅多に鐘の声を聞くことは出来ない。むろん騒音防止条例のせいである。
その鐘が鳴った。ならないはずの鐘が鳴った。そこにいるはずのない人がいたり、ドアの向こうに何かがいたりするのと同様、これは不気味だ。
「それに、なんだか陰気くさい、いやな声じゃなかったこと?」
「ええ、ずいぶん小さく聞こえました。風向きの加減でしょうかねえ」
「風なんかありませんよ、あれは撞き方がおかしいのですよ。聖林寺さんからこの家の方角は音の通りがよくて、あなたのお父様の頃には、役所の部下の方々が、わざわざ聞きにいらしたものです」
“你刚听到撞钟了吗?”
雪江表情僵硬地问道。从她尖锐的声音来看,她也是非常害怕。这么说的话,天不怕地不怕的母亲看来也有脆弱的一面。
“嗯,听起来像是撞钟声。”
“是钟声,果然没错……像是圣林寺那边传来的。”
“大概吧,这附近有钟的寺庙也只有那里了。”
“但是,圣林寺的师父为什么在这个时候……奇怪啊……”
“是啊,很奇怪。”
在东京,除非是除夕夜,或者发生了紧急情况,夜里是不能鸣钟的。不,即便是白天,也不怎么听得到钟声。当然是是因为噪音防止条例约束着。
但是钟响了,本不该响的钟响了。就像门后可能有什么脏东西一样,圣林寺那边可能有不该有的人,想想就觉得阴森森的。
“所以说,不知怎么的就很诡异啊,这声音不奇怪吗?”
“这个啊,只能听到很小的声音,可能是风的作用吧?”
“风什么的不存在的,是撞钟的方式很奇怪。从圣林寺到我们家的方向,声音传得很远,你父亲在世的时候,就听到他政府里的下属提起过。”
先生の教えをお願い致します。
靡不有初,鲜克有终……