高松行きはその3日後であった。
天候異変だとか言いながら、今年の梅雨はちゃんと平年どおりにやってきた。人間どもがあれこれ騒ぐのを、天が笑っているかのようだ。
おかげで、羽田から高松空港までのフライトは、あまり快適なものではなかった。雲の中に入ると、翼の先がユサユサ揺れ、機体は激しく上下する。時折、稲光が走るのも気になった。
ただでさえ飛行機嫌いの浅見は、なるべく窓の外を見ないように、じっと座席に身を委ねていた。こんなことなら、聖林寺に行った時、お賽銭を上げてくればよかった――などと、妙なことが頭をかすめる。
機内で「偶然」出会った木元·田原の両刑事は修学旅行の中学生そこのけで、代わる代わる窓の下をのぞきこんでは、雲の切れ間に見える下界の風景を楽しんでいる。
「浅見さんはよほど飛行機に乗り慣れているのですな、ちっとも窓の外を見ようとしませんね」
木元はうらやましそうに言った。
「ははは、まあ……」と笑顔を見せたが、浅見はそれどころではない。その二人が騒ぎまくって、飛行機の操縦に支障をきたさないことを願うばかりだ。
西日本の空は晴れていた。コバルトブルーの瀬戸内海に、銀色の瀬戸大橋が美しいと、二人はまた大はしゃぎであった。実際に見えたのは淡路島と徳島を結ぶ大鳴門橋だったらしく、隣のシートの客が目引き袖引きして笑っている。浅見はもっぱら他人のような顔をすることに徹した。
高松空港から空港バスに乗って市内に入ると、二人の刑事はまず高松北警察署へ顔を出すことになっていた。現地では所轄の警察署に挨拶するのが警察社会での仁義なのだそうだ。その点、ヤクザ社会のシマ意識と似たところがある。
高松北署の玄関を入ったところで、浅見はいきなり懐かしい顔と出会った。小柄でズングリした中年男である。
「やあ、大原さん」
浅見は思わず大声で呼びかけた。
「浅見さん……」
大原部長刑事は驚きのあまり絶句して、しばらくわが目を疑うような顔であった。
「どないしたですか。またおふくろさんが記憶を喪失したわけやないでしょうな」
大原は真顔できいている。あまりジョークの言えない男だから、本気でそう心配したのかもしれない。
高松之行是在三天之后。
虽说气候异常,但今年的梅雨季节还是来得和往年一样准时,仿佛是天公在嘲笑聒噪的人类一般。
亏了这梅雨,从羽田到高松机场的航班并不怎么舒服。飞机一进入云层,机翼就振颤个不停,机身也大幅度地上下摇动。时不时地,如走龙蛇的闪电更是让人胆战心惊。
恶劣的天气暂且不提,浅见自己因为害怕坐飞机,就已经尽量地不看窗外,一直窝在自己的座位上。他的脑中闪过奇怪的念头——早知如此,要是之前去圣林寺的时候顺便拜拜大权现就好了。
在机内“偶然”相会的木元·田原两名刑警比修学旅行的初中生还激动,透过云层间隙轮番眺望着窗外大地上的风景,显得不亦乐乎。
“浅见先生真是坐飞机坐惯了啊,一点也不想看看窗外。”
木元有点羡慕地说道。
浅见笑着答应着“哈哈,哪里哪里……”,心里却不这么想。他心里只希望这两个人不停的喧嚣不要干扰了机长的驾驶。
飞机行至西日本,天空已经放晴。两人又吵闹着说钴蓝色的濑户内海上银色的濑户大桥有多美多美,实际他们看到的是十有八九是连接淡路岛和德岛的大鸣门桥,旁边座椅上的乘客也露出几分讥笑。而浅见自始至终都是秉持着事不关己高高挂起的原则,对二人表现地毫不关心。
一行人从高松机场乘坐机场巴士进入了市区,两名刑警打算先去高松北警察署拜访拜访。查案时拜访当地的警察署貌似是警察们之间的心照不宣的惯例。这一点和黑道上的地盘意识倒有几分相似之处。
浅见一进高松北署的玄关,就猛地见到了相识的面孔。那是一个身材矮小、胖墩墩的中年男性。
“喂,大原!”
浅见不假思索地大声喊出了他的名字。
“浅见……”
大原刑警惊讶地说不出话来,还有点不敢相信自己的眼睛。
“咋回事呢?是不是又是为令堂的失忆而来的呀?”
大原真挚地问道。他不是会讲笑话的人,说不定真是为此事而担心。
先生の教えをお願い致します。
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本帖子最后于 2025/1/24 14:38:45 编辑 ]
靡不有初,鲜克有终……