いきなり矛先を向けられて、江尻は苦笑いをしながら頷いた。
  経理係の立場としては、社員の借金の話はタブーというわけだ。(なるほど、そういうものかもしれないーー)と、浅見は妙に感心した。母親と顔を合わせて、ソアラのローンの話を出すと、いつも「聞く耳を持ちません」 とピシャリとやられる。その類に違いない。
  結局、大した収穫もなく、浅見は松川の勤め先を後にした。
  再び松川家に行って、チャイムボタンを押すと、今度は女性の声がして、すぐにドアを開けてくれた。
  松川夫人は想像していたのより、はるかに若かった。若くて美人だ。 不幸があったせいか、顔が青ざめて見えるほど色が白く、少し乱れたような髪が首筋あたりまで垂れて、お辞儀をすると、頬を隠す。
  黒いセーターの下に着た白いブラウスの襟元を寄せるようにして、少し 上目遣いにこっちを見た。
  「あの、どちら様でしょうか」
  張りのある、若々しい声であった。
  浅見は肩書きのない方の名刺を出した。
  「この度ご愁傷様でした」などと、口の中でモゴモゴとなれない悔やみを述べ 、しゃっちょこ張って頭を下げた。 
  话锋突转,江尻苦笑着点了点头。
  对于会计来说,借钱还债是个挺禁忌的话题。浅见恍然大悟,心下深有同感。浅见每次跟母亲说要贷款买车的时候,都会被母亲断然拒绝,然后训斥一通。会计的情况大概也属此类。
  问到底也没有什么大的收获,浅见就这样离开了松川的公司。
  浅见又来到了松川家,这次按下门铃之后,应声的是个年轻女性。门很快开了。
  松川的妻子比预想中年轻很多,又年轻又漂亮。可能是因为突遭横祸,她的脸色煞白得有些发青。没扎起来的头发垂到了肩膀附近,鞠躬的时候一低头就盖住了脸。
  松川妻子用手紧了紧黑色毛衣下的白衬衫衣领,抬眼看向浅见。
  “抱歉,您是哪位?”
  松川妻子的声音年轻而富有活力。
  浅见把没有头衔的名片递给了她。
  “人已经走了,请您节哀。”浅见口中说着不熟练的悼词,僵硬地低下了头。 
 先生の教えをお願いいたします。
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本帖子最后于 2025/9/28 11:20:33 编辑 ]
靡不有初,鲜克有终……